技術士二次試験は技術士になるための最大の関門です。
技術士二次試験は合格率約10%と国家資格の中でも難関クラスの試験です。
しっかり対策して勉強をすすめていかなければなかなか合格することはできないでしょう。
そこで、本記事では技術士二次試験の概要と合格するための対策をまとめました。
本記事では私自身が技術士試験に合格した方法をブラッシュアップして紹介します。
ちなみに、私は令和元年度の技術士二次試験に金属部門で合格しました。
受験する部門や受験年度によって対策方法を変える必要はあると思いますが、本記事を読むことで二次試験に合格するまでの道のりが分かるはずですよ。
技術士二次試験の概要
技術士二次試験は技術士試験における最大の山場です。
技術士になるためには一次試験と二次試験に合格する必要があります。
そのうちの二番目に受けることになる試験ですね。
二次試験の位置づけ
技術士になるまでの大まかな流れは以下の通りです。
- 技術士一次試験
合格すると修習技術者になります。
※一次試験は免除されるケースがあります。例えば、JABEE認定教育課程の修了者は一次試験に合格しなくても該当する大学を卒業しているだけで修習技術者になれます。
- 技術士二次試験 筆記試験←コレ
修習技術者となり、かつ規定年数の実務経験を積むと二次試験を受験できます。
合格率は約10%と、技術士試験の中でも最大の関門です。
- 技術士二次試験 口頭試験←コレ
二次試験 筆記試験に合格すると口頭試験に進めます。
合格率は80~90%と高い確率で合格できますが、ここで不合格になるとまた二次試験の筆記試験からやり直しとなってしまいます。
- 技術士 登録
二次試験口頭試験に合格すると、技術士になる資格が得られます。
合格したのち技術士として登録すると晴れて技術士と名乗ることができます。
※技術士として登録しなければ技術士と名乗れない点には注意です。
二次試験の受験資格
一次試験に合格して修習技術者となった後、以下のいずれかの実務経験を積むことで二次試験の受験資格が得られます。
実務経験の少ない若手技術者が技術士を目指す場合は経路1、2を通るのが良いと思います。
ただ、技術士を目指そうとする技術者は中堅以上の方が多く、ほとんどの技術者は経路3を選択するようです。
試験のスケジュールや試験科目など
試験のスケジュールや試験科目を以下にまとめます。
筆記試験のスケジュール
出願時期 | 出願書類配布:4月上旬 出願書類受付:4月上旬~4月中旬 |
試験時期 | 7月中旬 |
合格発表 | 11月上旬 |
受験資格 | ①②を両方とも満たしていること ①技術士一次試験に合格している(もしくはJABEE認定教育課程を修了している) ②規定年数(4年超~7年超)の実務経験がある |
受験料 | 14,000-(非課税) |
試験会場 | 北海道、宮城、東京、神奈川、 新潟、石川、愛知、大阪、 広島、香川、福岡、沖縄 |
試験内容 | すべて論文方式 ・必須科目 問題1 ・選択科目 問題2 ・選択科目 問題3 |
筆記試験の試験科目
試験科目 | 内容 | 試験時間 | 合格基準 |
---|---|---|---|
必須科目 問題Ⅰ | 部門全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力 (600字 × 3枚) | 2時間 | 60%以上 |
選択科目 問題Ⅱ | 部門全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力 (600字 × 3枚) | 3時間半 (問題Ⅲと合わせて) | 60%以上 |
選択科目 問題Ⅲ | 選択科目に関する問題解決能力及び課題遂行能力 (600字 × 3枚) | 3時間半 (問題Ⅱと合わせて) | 60%以上 |
口頭試験のスケジュール
出願時期 | なし(二次筆記試験と兼ねる) |
試験時期 | 12月上旬~翌年1月中旬 |
合格発表 | 翌年3月中旬 |
受験料 | なし(二次筆記試験と兼ねる) |
試験会場 | 東京 |
試験内容 | 面接方式 |
技術士二次試験の難易度
ここからは技術士二次試験の難易度について解説します。
偏差値と難易度
技術士二次試験(技術士)の偏差値は70、難易度は難関レベルです。
資格名 | 偏差値 |
---|---|
司法試験(弁護士など) | 77 |
公認会計士 | 77 |
税理士 | 75 |
弁理士 | 75 |
医師 | 74 |
技術士 | 70 |
中小企業診断士 | 67 |
一級建築士 | 66 |
気象予報士 | 64 |
歯科医師 | 63 |
行政書士 | 62 |
薬剤師 | 62 |
技術士補 | 60 |
ファイナンシャルプランナー1級 | 58 |
日商簿記検定2級 | 58 |
TOEIC700点 | 57 |
他の国家資格で例えると中小企業診断士、一級建築士と同程度の難易度です。
弁護士や公認会計士のような最難関クラスではありませんが、長い勉強時間が必要な難関クラスです。
技術士試験の難易度については以下の記事で詳しく解説しています。
⇒技術士試験の難易度は?資格の偏差値ランキングも紹介!
合格率
技術士二次試験の合格率は10%程度で推移しています。
また、最近は一段階試験が難化したのか平成29年度以前よりも一段階低い水準で推移しています。
令和元年度から試験が改正され、改正以前は必須科目が択一式の試験だったのに対して、改正後は必須科目も論述式の試験に変更されました。
やはり論述式の方が苦戦する方が多いようですね。
平成はおおむね15%前後の合格率でしたが、令和以降は11%程度の合格率となっています。
各部門ごとの技術士二次試験の合格率の推移はこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒技術士二次試験(技術士)の合格率の推移一覧【部門別】
必要な勉強時間
技術士二次試験に合格するために必要な勉強時間は約500時間です。
ただし、この時間はあくまでも目安であり人によってバラつきがあります。
技術士になるまでに必要な勉強時間はこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒技術士試験に合格するために必要な勉強時間を解説【体験談あり】
技術士二次試験の対策方法
ここからは技術士二次試験に合格するための対策方法を解説します。
二次試験 筆記試験は全て論述式の試験となっています。
マークシート方式と違って明確な答えが用意されているわけではありませんので、対策にはコツが必要です。
また、二次試験 口頭試験はいわゆる面接です。
こちらは出願書を作成する段階で対策をしておいた方が有利に立ち回れます。
いずれも、単純に過去問を解くといった分かりやすい対策では合格点に達することは難しいので、私が受験の時に蓄積した対策のコツをお伝えします。
出願書の対策をする
まずは出願書の対策をしましょう。
技術士二次試験では申込書類として「①受験申込書」と「②実務経験証明書」の2つを用意する必要があります。
申込書類のフォーマットは日本技術士会公式サイトからダウンロードできます。
「①受験申込書」には氏名、住所、勤務先などを記入します。
誤字脱字がないように注意しましょう。
「②実務経験証明書」にはあなたのこれまでの業務経歴と業務内容の詳細を記載する必要があります。
以下の点を意識して、審査官に「あなたは技術士としてふさわしい」と思わせられるような内容を書きましょう。
実務経験証明書の具体的な書き方はこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒【技術士】実務経験証明書(業務内容の詳細)の書き方【サンプル有】
筆記試験の対策をする
次に、技術士試験における最大の山場である筆記試験の対策をしましょう。
ここが一番時間が掛かります。
まずは必要な情報をインプットしましょう。
合格できる解答論文を書くために必要なポイントを以下にまとめました。
合格できる解答論文を書くためのポイントはこちらの記事で詳しく解説しています。
【論文の書き方基礎編】基本的な論文の書き方を解説します
【論文の書き方応用編】技術士試験ならではの論文作成のコツ
【模範解答例付き】技術士二次試験対策 筆記試験 問題Ⅰ(必須科目)
【模範解答例付き】技術士二次試験対策 筆記試験 問題Ⅱ-1(選択科目)
【模範解答例付き】技術士二次試験対策 筆記試験 問題Ⅱ-2(選択科目)
【模範解答例付き】技術士二次試験対策 筆記試験 問題Ⅲ(選択科目)
情報のインプットが出来たら、実際に過去問を解いてみましょう。
過去問は日本技術士会公式サイトで公開されています。
最初のうちは全然解答論文が書けないと思いますが、時間を掛けてもいいのでなんとか頑張って一本仕上げてみてください。
解答論文が出来上がったら誰かに添削をお願いして、自分の書いた解答論文が合格点に達しているかを確認します。
論文添削は添削サービス付きの有料講座を受講して受けてください。
当サイトでおすすめしている講座は以下の3講座です。
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なお、添削を受ける際は有料講座に限らなくても良いのですが、「技術士ではないが文章を書くのが上手い上司」や「技術士ではないが専門知識が豊富な技術者」からの添削ではあまり意味がないことに注意してください。
技術士二次試験 筆記試験の解答論文は技術士に求められるコンピテンシー(資質能力)が読み取れる内容である必要があります。単純に「読みやすい文章か」「専門知識が間違っていないか」といった部分だけを添削してもらっても合格することはできません。
技術士試験に合格できる論文に仕上げることが出来るのは実際に試験に合格した技術士だけだと考えますので、技術士から添削を受けることをおすすめします。
解答論文の添削を受けたら修正を行い、再度別の過去問で解答論文を書いて添削を受けるというサイクルを繰り返していきます。
このサイクルを繰り返すことで「合格できる解答論文を作成する力」が付いてきます。
筋トレするかのように、繰り返し繰り返し解答論文を書いていってください
最後に、試験本番を想定して制限時間内に解答論文を作成できるよう練習を行えばOKです。
万全の状態で試験日を迎えられるようにしましょう。
口頭試験の対策をする
筆記試験に合格したら、口頭試験の対策をしましょう。
※筆記試験の合格発表から口頭試験までは期間が短いので、出来れば筆記試験の合格発表前から口頭試験の準備を進めておくのが理想です。
まずは必要な情報をインプットしましょう。
口頭試験に合格するために必要な確認すべき事項を以下にまとめました。
全てを本記事に記載するとものすごい量になってしまいますので個別記事に解説を用意しました。
項目をクリックして解説を読んでみてください。
情報のインプットが出来たら、本番に向けた準備をしましょう。
口頭試験で出題されると想定する質問に対して、自分なりの答えを作成していきます。
この想定質問に対する答えを作成したものを、技術士界隈では想定問答集と呼んでいます。
ここでは数個程度しか挙げませんでしたが、準備した方が良い質問はもっと沢山あります。
想定される質問についてはこちらの記事で一覧にまとめていますので確認してみてください。
技術士二次試験 口頭試験の対策まとめ【想定問答集付き】
【想定問答集プレゼントのお知らせ】アンケートに答えて無料ダウンロード!
私が口頭試験を受ける際に実際に準備した想定問答集を配布します。
質問だけでなく回答も記載してありますので、さすがにそのまま流用するわけにはいかないですが参考になるかと思います。
注意事項!
・令和元年度の試験時に作成したものです。
・社外秘情報に該当する記載は削除しています。
・資料の転載、複製、改変等はご遠慮ください。
・アンケート4問にご回答いただける方に限ります。
自分の想定問答集が出来上がったら、あとは本番に向けた対策をしましょう。
頭の中で試験本番をイメージしたり、実際に回答を口に出してしっかり説明できるようにしておきましょう。
試験本番では緊張もするでしょうから、模擬面接を受けておくことが望ましいです。
アガルートアカデミーなら模擬面接サービスも講座内容に含まれているのでおすすめです。
公式サイト:https://www.agaroot.jp/gijyutsu/
技術士二次試験に合格して技術士になるメリット
技術士試験に合格して技術士になると多くのメリットがあります。
技術士は業務独占資格ではなく名称独占資格ですので、技術士でなければ出来ない仕事というものはありません。
資格を取ればそれだけで一生食っていけるというものではありません。
(そもそも今時そんな資格取得だけで一生食える資格があるのか微妙ですが…)
とはいえ、やはり資格があるとないとでは人生において有利に立ち回れるかは大きく異なります。
実際、私も技術士を取得してから人生が随分と好転したように感じています。
資格を取得するだけでなく「資格を活用する!」という視点と行動が必要になりますが、その際に技術士という資格は大きな武器となります。
ということで、技術士は取得しておいて損はありませんよ。
技術士を取得するメリットについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
⇒技術士の資格を取得するメリットとデメリット【体験談あり】
まとめ
本記事では技術士二次試験の概要と試験対策方法について解説しました。
技術士二次試験は技術士となるための最大の山場です。
二次試験は非常に難易度の高い試験ですが、その分技術士になればメリットもありますのでしっかりと対策して合格できるようにしましょう。