技術士は科学技術系で最難関の資格です。
最短4年以上の長い実務経験を積み、何度も受験をすることでようやく合格出来るような資格になっています。
このような資格ですから、合格者の年齢もそれなりに高い傾向にあります。
合格者の平均年齢の高さが技術士という資格の難易度を表すひとつの指標となるでしょう。
一方、受験者の方としては「自分の年齢の合格率はどれくらいだろうか?」「若いと不利なんじゃないか?」ということも気になりますよね?
ということで、本記事では技術士試験合格者の平均年齢とその推移、年代別の合格率をまとめました。
そもそも技術士ってなに?という方にはこちらの記事がおすすめです。
⇒技術士とはどんな資格?現役技術士がわかりやすく解説!【技術系最難関の国家資格】
技術士試験合格者の平均年齢
技術士試験合格者の平均年齢は日本技術士会の公式サイト上で公開されています。
公開されているのは数字だけの生データですので、推移も見やすいようにデータを引用してグラフに書き直しました。
一次試験合格者の平均年齢は約32歳
技術士一次試験の合格者の平均年齢は約32歳です。
過去5年の推移をみましたが、平均年齢が下がっている傾向も上がっている傾向もなく、同じ水準で推移しています。
二次試験合格者の平均年齢は約42歳
技術士二次試験合格者の平均年齢は約42歳です。
過去10年間の平均年齢の推移がこちらになります。
多少のばらつきはありますが、概ね42歳~43歳の間で推移していますね。
一定のばらつきの範囲内で推移しており、平均年齢が上がっている・下がっているというような傾向はみられません。
なお、技術士二次試験合格者の年代ごとの分布は以下の通りです。30代~40代がボリュームゾーンですね。
年代別の合格率の推移
次に、技術士試験の合格率を年代別に見ていきましょう。
一次試験の年代別合格率
技術士一次試験の年代別合格率は以下の通りです。
20代、30代、60代の合格率がやや高く、10代、40代、50代の合格率がそれに続き、70代以上の方の合格率が比較的低いという傾向があるようです。
特徴的なのが、試験年度によってこの傾向があまり変わらないということです。※70代以上の方を除く
例えば、「この年度の試験は10代に有利な設問だったね」ということはないということですね。
二次試験の年代別合格率
技術士二次試験の年代別合格率は以下の通りです。
30代の合格率がもっとも高く、70代以上の合格率が最も低いです。
データ的には10代の0%が最も低いですが、10代ではそもそも受験資格を満たせず受験できないでしょうから除外します。
気になる20代ですが、他の年代と比較して極端に合格率が低いということもないようです。
若いから不利、ということもなさそうですね。
(もちろん、若いなりの対策は必要になるとは思いますが)
30代で技術士を取得した体験談
私自身は30代で技術士二次試験に合格して技術士になりました。
技術士二次試験の合格者のボリュームゾーンである30代ですが、他の年代と比べて技術士試験が難しかったかや取得後の活動はどうかなどの体験談をお伝えします。
世代による試験難易度の違いは特に感じなかった
技術士二次試験合格者の年齢のボリュームゾーンである30代で合格したから当たり前かもしれませんが、他の世代で聞くような「その世代ならではの難しさ」というのは特に感じませんでした。
- 20代のような若い年齢の場合は、主体的な業務経歴があるか、リーダーシップがあるか注意深く確認される。
- 70代のような定年後の年齢の場合は、そもそも技術士という資格がなぜ必要かを問われる。
若い世代や年配の世代ではこのようなことが問われることがあるので対策が必要になるケースがあると聞きますが、私の場合は特に何もなく通常通りに試験は進みました。
もちろん技術士試験自体は非常に難しいものでしたが、何か特別な対策が必要になるということもなく一般的な対策だけで合格することができました。
技術士合格後の祝賀懇親会は若干浮いていたかも
技術士一次試験もしくは二次試験に合格した人には日本技術士会から祝賀懇親会のお誘いがあります。
私もその懇親会に参加したのですが、既技術士の先輩含めて参加者の年齢は50代以上の方ばかりで、40代以下の方はおらず30代は私だけという若干浮いた感じになっていました。
技術士は長い実務経験が受験資格となることもあり、技術士の平均年齢も高くなる傾向にあります。
技術士会でイベントがある場合も参加者の年齢は高くなりがちです。
それがダメだというわけではありませんが、技術士絡みのイベントに参加するならそのつもりでいた方が良いかもしれません。
ちなみに、年齢が気になるなら技術士会の中でも若手集団である青年技術士支援委員会が主催するイベントがおすすめです。
青年技術士支援委員会なら構成メンバーは45歳以下ですので、浮くことはまずないでしょう。
私も参加したことがありますが、みんな技術士という共通点があることもあって仲良くなれるスピードが早いです。
主催者である青年委員会の方たちの段取りが上手いこともあり、とても楽しく過ごすことができましたよ。
転職の誘い(ヘッドハンティング)があった
技術士になったからというだけが理由ではないと思いますが、転職の誘い、いわゆるヘッドハンティングがありました。
私の場合は技術士というだけでなく特許取得や学会発表の経験がありますので、そちら経由からという可能性があります。あるいは、それらも含めて総合的にかもしれません。
これが例えば50代であればなかなかヘッドハンティングの声も掛かりにくいかと思いますので、これも30代で技術士を取得したからという側面がありそうです。
声を掛けてくれた方に話を聞いたところ年収も良い金額を提示してもらえましたし仕事内容も興味があったのですが、今住んでいる地域を離れる必要があったので結局お断りしました。
私の場合は現職に十分満足していることもあり実際に転職するとまではいきませんでしたが、「転職したい!」という方にとっては技術士を取得するメリットのひとつになるかと思います。
ヘッドハンティングの体験談はこちらの記事で詳しくまとめていますので、興味があれば参考にしてみてください。
文部科学省、日本技術士会は平均年齢35歳を目指している
文部科学省では遅くとも35歳で技術士を取得するべきと言っています。
技術の高度化、統合化等に伴い、技術者に求められる資質能力はますます高度化、多様化している。これらの者が業務を履行するために、技術ごとの専門的な業務の性格・内容、業務上の立場は様々であるものの、(遅くとも)35歳程度の技術者が、技術士資格の取得を通じて、実務経験に基づく専門的学識及び高等の専門的応用能力を有し、かつ、豊かな創造性を持って複合的な問題を明確にして解決できる技術者(技術士)として活躍することが期待される。
文部科学省「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu7/attach/1413398.htm
ちなみに、「遅くとも35歳程度」というのは他国のエンジニア資格との相互活用を意識したものですね。
例えば、米国のプロフェッショナルエンジニアの合格平均年齢は24~28歳、オーストラリアのチャータードプロフェッショナルエンジニアの合格平均年齢は30歳程度となっています。
日本の「技術士」という資格を他国のエンジニア資格のように活用したいという目的のために、平均年齢を下げる必要があると考えているのでしょう。
各国のエンジニア資格との比較表はこちら。
このような文部科学省の意向もあり、日本技術士会としても平均合格年齢を35歳まで引き下げたいと思っているようです。
ただ、平均年齢の推移を見ても分かるように実際にはなかなか成果が出ていないようです
まとめ
技術士二次試験合格者の平均年齢についてまとめました。
平均合格年齢は約42歳となっており、以下のグラフのように推移しています。
文部科学省や日本技術士会では平均合格年齢を35歳程度まで引き下げてさらに資格活用を促進したいという意図があるようです。
しかし、データを見る限り思うように結果は出ていないようです。
早く技術士資格がより活用されるようになってほしいものです。
コメント