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技術士一次試験の概要と試験対策法全般

一次試験対策

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技術士一次試験は技術士になるための第一歩です。

一次試験の合格率は約50%とそこまで難易度が高い試験ではありませんが、ノープランで合格できるほど甘い試験ではありません。

「一次試験なんて簡単でしょ」と甘く考えず、概要を把握してしっかり対策を進めましょう。

ということで、本記事では一次試験の概要と根本的な対策法について解説します。

この記事はこんな人におすすめ!
  • 技術士一次試験の受験を考えている
  • 技術士一次試験の難易度やスケジュールを知りたい
  • 技術士一次試験に合格するための対策法を知りたい
  • 技術士一次試験を免除される条件を知りたい

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技術士一次試験の概要

技術士一次試験は技術士試験における最初の試験です。

技術士になるためには一次試験と二次試験に合格する必要がありますが、そのうちの最初に受けることになる試験ですね。

一次試験の位置づけ

技術士になるまでの大まかな流れは以下の通りです。

  • 技術士一次試験 ←コレ
    合格すると修習技術者になります。
    一次試験は免除されるケースがあり、例えばJABEE認定教育課程の修了者は一次試験に合格しなくても該当する大学を卒業しているだけで修習技術者になれます。
     
  • 技術士二次試験 筆記試験
    修習技術者となり、かつ規定年数の実務経験を積むと二次試験を受験できます。
    合格率は約10%と、技術士試験の中でも最大の関門です。
     
  • 技術士二次試験 口頭試験
    二次試験 筆記試験に合格すると口頭試験に進めます。
    合格率は80~90%と高い確率で合格できますが、ここで不合格になるとまた二次試験 筆記試験からやり直しとなってしまいます。
     
  • 技術士 登録
    二次試験 口頭試験に合格すると、技術士になる資格が得られます。
    合格したのち技術士として登録すると晴れて技術士と名乗ることができます。
    ※技術士として登録しなければ技術士と名乗れない点には注意です。
引用:日本技術士会 第一次試験受験申込み案内
修習技術者と技術士補の違いとは

「修習技術者」は技術士一次試験に合格した者、もしくはJABEE認定教育課程の修了者を指す。
一方、「技術士補」は修習技術者が技術士会に技術士補として登録した者を指す。

修習技術者はあくまでも技術士補となる資格があるだけであり、正式に技術士会に登録しなければ「技術士補」と名乗ることはできない。

なお、一次試験に合格して修習技術者となった後、以下のいずれかの実務経験を積むことで二次試験の受験資格が得られます。

二次試験の受験に必要な実務経験
  1. 技術士補として登録し、指導技術士の下で4年超
  2. 修習技術者のまま、職務上の監督者の下で4年超
  3. 修習技術者のまま、7年超(修習技術者となる前の経験も算入可能)

実務経験の少ない若手技術者が技術士を目指す場合は経路1、2を通るのが良いと思います。

ただ、技術士を目指そうとする技術者は中堅以上の方が多く、ほとんどの技術者は経路3を選択するようです。

一次試験が免除される条件

技術士法では、技術士一次試験が免除される条件を規定しています。

これに該当すると技術士一次試験を受けることなくそのまま二次試験を受験することができるので、かなりお得です。

技術士等の資格に関する特例
大学その他の教育機関における課程であつて科学技術に関するもののうちその修了が第一次試験の合格と同等であるものとして文部科学大臣が指定したものを修了した者は、第四条第二項の規定にかかわらず、技術士補となる資格を有する。

技術士法 第三十一条の二 第二項

分かりにくいのでざっくりいうと、指定の大学と学部の卒業生(JABEEに認定された教育課程の修了者)は、技術士一次試験をすべて免除されるということです。

対象となる大学と学部は文部科学省公式サイトのこちらの資料で公開されていますので、一次試験を受験しようとする方は一度確認してみると良いでしょう。

そのほか、以下のケースでは一次試験の一部科目が免除されます。

  • 中小企業診断士を取得している人(経営工学部門の一次試験の専門科目が免除される)
  • 情報処理技術者を取得している人(情報工学部門の一次試験の専門科目が免除される)

こちらについてはあまり活用している方の話は聞かないのですが、該当する方は制度を有効に活用しましょう。

技術士一次試験が免除される条件についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒技術士一次試験が免除される条件とは?【JABEE認定者は一次試験免除されます】

試験のスケジュールや試験科目など

試験のスケジュールや試験科目を以下にまとめます。

出願時期 出願書類配布:6月中旬
出願書類受付:6月中旬~6月末
試験時期 11月末
合格発表 翌年2月下旬
受験資格 特になし
受験料 11,000円(非課税)
試験会場 北海道、宮城、東京、神奈川、 新潟、石川、愛知、大阪、 広島、香川、福岡、沖縄
試験内容 すべて5肢択一式(マークシート方式)
試験科目:基礎科目、適性科目、専門科目
免除条件 JABEE認定教育課程を修了している
技術士一次試験の概要一覧

試験は年1回だけ実施されます。
年に何度も試験が実施されるわけではありませんので、きっちりと対策して確実に合格できるように準備しておきたいですね。

技術士一次試験の試験科目は以下の3科目です。

例年午前に各部門の専門科目、午後に全部門共通の適正科目と基礎科目が実施されます。

試験科目内容試験時間合格基準
専門科目選択した技術部門に係る基礎知識及び専門知識に関する問題10:30~12:30
(2時間)
50%以上
適正科目技術士等の義務規定の遵守に関する適性に関する問題13:30~14:30
(1時間)
50%以上
基礎科目科学技術全般にわたる基礎知識に関する問題15:00~16:00
(1時間)
50%以上
技術士一次試験の試験科目一覧

技術士一次試験の難易度

ここからは技術士一次試験の難易度について解説します。

偏差値と難易度

技術士一次試験(技術士補)の偏差値は60、難易度は普通レベルです。

資格名 偏差値
司法試験(弁護士など) 77
公認会計士 77
税理士 75
弁理士 75
医師 74
技術士 70
中小企業診断士 67
一級建築士 66
気象予報士 64
歯科医師 63
行政書士 62
薬剤師 62
技術士補 60
ファイナンシャルプランナー1級 58
日商簿記検定2級 58
TOEIC700点 57
出典:資格の取り方よりデータを引用して表を作成

他の国家資格で例えると薬剤師、行政書士、FP1級と同程度の難易度です。

弁護士や中小企業診断士ほど難関ではありませんが、普通に勉強は必要なレベルです。

合格率

技術士一次試験の合格率は以下の通りです。

日本技術士会 試験・登録情報 統計情報のデータを引用してグラフを作成

近年では試験が難化しているのか、技術士一次試験の合格率は50%を大きく下回っています。

実際に試験問題を見てみても難化している印象がありました。
特に適正科目の難易度が上がっているようですね。
従来は常識的な感覚だけで合格点に達するようなイメージがあったのですが、近年は常識的な感覚だけでは通用しないようになってきました。

技術士一次試験の合格率の推移はこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒技術士一次試験(技術士補)の合格率の推移一覧【部門別】

必要な勉強時間

技術士一次試験に合格するために必要な勉強時間は約200時間です。

技術士一次試験の合格までに必要な勉強時間
  • 基礎科目:80時間
  • 適正科目:40時間
  • 専門科目:80時間

合計で約200時間

この時間はあくまでも目安であり、人によってバラつきがあります。

技術士一次試験は理系大学卒業程度の知識があることを確認されますので、大学で勉強したようなことが出題されます。

ということで、学生さんや大学を卒業して間もない方の方が知識も覚えているので少ない勉強時間で合格できるでしょうし、社会に出てから年数が経っている人は忘れている知識もあるでしょうから勉強時間も多く必要になるケースが多いでしょう。

社会に出るとなかなか勉強時間を確保することも難しくなりますので、技術士一次試験は出来るだけ早いうちに受験するのが有利ですね。

技術士になるまでに必要な勉強時間はこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒技術士試験に合格するために必要な勉強時間を解説【体験談あり】

技術士一次試験の対策方法

ここからは技術士一次試験に合格するための対策方法を解説します。

一次試験は全てマークシート方式(5肢択一式)となっています。
論述方式と違って明確に正解がある試験ですので、対策もしやすい試験です。

更に、出題範囲が広いとはいえある程度回答する問題を選択できるようになっているため、苦手な分野があってもある程度カバーできる試験となっています。

うまく勉強して効率よく合格できるようにしましょう。

とにかく過去問を解けばOK

技術士一次試験は過去問から多く出題されます。
おおむね半分くらいは過去問からの出題となっています。

そのため、基本的にとにかく過去問を解けるようになっていけば十分合格することができます。

まずは過去問を解いて、自分の力量を確認してみましょう。

日本技術士会のホームページで過去問が公開されていますので、直近年度の問題から解いてみてください。こちらのページから自分の部門を選択して参照してください。
⇒過去問題(一次試験)

過去問を解いたら答えあわせをしてみましょう。
正答率と合格可能性の目安としては以下になります。

正答率と合格できる可能性
  • 正答率80%以上
    安全圏です。
    このまま何年分か過去問を解いてみて、それでも80%程度の正答率なら問題はないでしょう。
  • 正答率50~70%
    このままでも合格する可能性はありますが、さらに盤石にするため対策しておきましょう。
  • 正答率40%以下
    要注意です。
    これから紹介する記事や参考書で勉強する必要があります。

過去問を解くことで自分の得意科目や苦手科目が分かったと思います。
この結果を参考にして、全科目の正答率が60%以上(出来れば80%以上)になるように勉強していきましょう。

次の項目で基礎科目、適性科目、専門科目のそれぞれの対策方法をまとめていますので、苦手分野を重点的に潰していってくださいね。

基礎科目

基礎科目は理系大学卒業程度の知識の中でも『設計』『情報』『力学』など総合的な知識が必要になります。
出題内容のレベルは4年制大学の理系学部卒業と同程度です。

基礎科目は次の問題群からそれぞれ6問、計30問出題されます。
そして、各問題群からそれぞれ3問ずつを選択して計15問を解答します。

基礎科目の出題内容
  • (1群) 設計・計画に関するもの〔 設計理論、システム設計、品質管理等 〕
  • (2群) 情報・論理に関するもの〔 アルゴリズム、情報ネットワーク等 〕
  • (3群) 解析に関するもの〔 力学、電磁気学等 〕
  • (4群) 材料・化学・バイオに関するもの〔 材料特性、バイオテクノロジー等 〕
  • (5群) 環境・エネルギー・技術に関するもの〔 環境、エネルギー、技術史等 〕

例えば、以下のような問題が出題されます。

過去問チャレンジ

下図に示した、互いに独立な3個の要素が接続されたシステムA〜Eを考える。

3個の要素の信頼度はそれぞれ0.9, 0.8, 0.7 である。各システムを信頼度が高い順に並べたものとして、最も適切なものはどれか。
1 .C > B > E > A > D
2 .C > B > A > E > D
3 .C > E > B > D > A
4 .E > D > A > B > C
5 .E > D > C > B > A

答え:2

引用:技術士第一次試験 令和3年度(2021年) 基礎科目「設計・計画に関するもの」問2

このような問題を解くために必要な知識の一部を以下に挙げます。

当サイトでは、技術士一次試験の基礎科目を解くために必要な知識をこちらの記事でまとめています。
⇒技術士一次試験 基礎科目対策【過去問解説付き】

とはいえ、正直なところボランティアで情報発信していますので情報の鮮度やボリュームには限界があります。

当サイトで解説する知識だけで誰もが合格できるようになるとは言い切れませんので、不安な人は参考書を活用するようにしてください。

技術士一次試験用のおすすめ参考書についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒【独学向け】技術士一次対策おすすめ参考書3選+α

適正科目

適性科目は技術士として活動する際に必要になる倫理観が試される科目です。

適性科目は基礎科目や専門科目と比較して常識的な感覚のみで解ける問題が出題される傾向にあります。
そのため「適性科目は勉強する必要がない、そんなことよりも基礎と専門を勉強するべき」と言う人も結構いました。

ただ、それはもう昔の話です。

常識的な感覚というのも人によって異なりますし、近年では試験が難化している傾向もあってある程度対策しなければ合格基準を満たすことができないというケースも多いでしょう。

ということで、私は適正科目については「基礎科目や専門科目ほどがっつり勉強する必要はないけど、ある程度対策はしておいた方が良い」というバランスで勉強することをおすすめしています。

当サイトでも適正科目についてこちらの記事で解説しております。
技術士一次試験対策 適性科目の勉強方法について解説します!

とにかく過去問を5~7年程度繰り返し解くというくらいでもギリギリ合格基準に達すると思いますが、より効率よく合格の可能性を高めたいなら参考書を流し読みするのがおすすめです。

基礎科目の項目で紹介した参考書なら基礎科目と適性科目がセットで一冊になっているので、こういった参考書を一冊持っておくと基礎科目の勉強をしながら適正科目もより盤石になるのでおすすめです。

技術士一次試験用のおすすめ参考書についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒【独学向け】技術士一次対策おすすめ参考書3選+α

専門科目

専門科目は専門的なな理系大学卒業程度の知識が必要になります。

専門科目については参考書がないと対策は難しいです。
私自身は金属部門であることもあり、当サイトの情報発信レベルでは部門を超えた幅広い専門分野に対応することはできません。

ここは素直に自分の受験する部門の参考書を購入して対策しましょう。

私は金属部門を受験しましたので、こちらの参考書を購入して勉強しました。
これがないと多分合格は無理でしたね。ちなみに、この参考書は二次試験にも対応しているので便利ですよ。

また、金属部門以外の部門の参考書を以下に紹介します。
私自身は金属部門であり他部門の参考書の内容の良し悪しはわかりませんので、レビューや口コミが良好なものを挙げておきます。

この他、参考書よりもお金はかかりますがSATさんの有料講座もよいですね。

テキストなどのいわゆる参考書に加えて、「全20時間以上の動画講義」と「メールによる質問制度」も付いてきます。

基礎科目・適正科目・専門科目と全てカバーしているので、それぞれの参考書を購入することと比べたら費用もそこまで高いものではありません。

当然、最新版に対応しています。

部門が限られているのがネックですが、あなたの部門が下記5つのどれかならぜひおすすめしたい講座です。

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  • 建設部門
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一方、参考書や有料講座がない部門を対策する場合には勉強方法に工夫が必要です。
その方法はこちらの記事で解説しておきましたので良ければ参考にしてみてください。
技術士一次試験専門科目の勉強方法【全部門対応可能な手順を解説】

一次試験に合格するメリット

一次試験に合格するメリットはひとえに技術士二次試験の受験資格となるということです。

一次試験に合格しただけでは年収アップや信頼性向上などの大きなメリットがあるとは言えません。
そこまで難易度の高い試験でもありませんので、自分に箔を付けるという効果もそこまでありません。

あくまでも、技術士になるためのステップと考えるのが良いでしょう。

ただし、大学生ならある程度メリットがある場合があります。
企業によりますが、就活する際に技術士一次試験に合格した実績をプラス評価してくれる場合があります。

技術士を取得するメリットについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒技術士の資格を取得するメリットとデメリット【体験談あり】

まとめ

本記事では技術士一次試験の概要と試験対策方法について解説しました。

技術士一次試験は技術士となるための第一歩です。

適切に対策すれば合格できる試験ですので、きっちりと対策して合格できるようにしましょう。

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