技術士二次試験対策 筆記試験 問題Ⅱ-1(選択科目)

はじめに

問題Ⅱ-1について金属部門を中心に記載します。
この問題の出題内容や評価項目は日本技術士会ホームページの「技術士第二次試験受験申込案内」で公開されています。ただ、公開されている内容はなかなかにお堅い表現になっており、分かりにくいところがあるかと思います。
そこで、本ページでは出来るだけかみ砕いて分かりやすく表現するようにしています。一方で、見る人によっては「説明が足りないのでは?表現がおかしいのでは?」と思われる可能性もあると思います。また、あくまでも私の解釈であり、「試験管の真意は絶対こうだ、間違いない」というものではありません。
試験対策は人それぞれですので、参考にできるところは参考にするというスタンスでお読みください。

出題傾向と評価項目

選択科目についての専門知識を問われる問題です。
出題内容としてはシンプルで、例えば「○○について原理、技術的特徴、実用上の注意点を述べよ」といった出題がされます。稀に変化球として「○○と△△について、それぞれを比較しながら原理、技術的特徴、実用上の注意点を述べよ」といった出題等もされますが、基本的に専門用語(キーワード)について説明せよという問題が出題されます。

この問題で評価される項目として「専門的学識」「コミュニケーション」が挙げられています。
かみ砕いて説明すると、「技術的な専門用語についてちゃんと知っていますか?(専門的学識)」「分かりやすく説明できますか?(コミュニケーション)」といったことが評価されます。

A評価解答事例

A評価の解答事例を例に挙げて解説します。

令和元年度二次試験 (金属部門表面技術) 問題Ⅱ-1-1
<問題文>

真空技術を利用した成膜法について1つ挙げ、原理、技術的特徴、実用上の注意点を述べよ。
<解答(A判定)>

 真空技術を利用した成膜法であるスパッタリングについて以下に記載する。
1.原理
スパッタリングとは、対象物の表面に金属膜を形成する手法であり、乾式めっき(PVD)のひとつである。その原理は、真空容器内に基材と成膜材料(ターゲット)を設置し、電極とターゲット間に高電圧を印加する。すると導入ガスであるアルゴンや酸素がイオン化し、ターゲットに勢いよく衝突する。その際にターゲットから原子がはじき出され、はじき出された原子が基材に到達し付着・堆積することで成膜する手法である。
  ※本来はスパッタリングのモデル図を記載していますが、ここでは省略しています。

2.技術的特徴
・蒸着等と比較して、膜の密着強度や緻密性が高い。
・成膜時間を制御することで、高精度な膜厚のコントロールが可能である。
・ 反応性ガス(酸素や窒素)を使用することで、容易に酸化膜や窒化膜の成膜が可能である。
・処理液が不要であり低環境負荷である。

3.実用上の注意点
 成膜速度は高くないので厚膜形成は苦手である。また、真空容器を要するの で処理可能な基材のサイズに制約が生じる。基材の形状は基本的に板状に限ら れ、三次元な基材に対するスパッタリングは開発は進められているが(バレルスパッタリング等)、一般的な実用には至っていない。

解説

非常にシンプルな出題です。問題Ⅱ-1はこの形が基本となっていますので、様々な専門用語についてこの形で解答できるように練習しておけば、比較的簡単にA判定がもらえると思います。

解答するにあたっていくつかポイントがありますので、それぞれ具体的に解説していきます。

①題意に沿った解答であること その1
この問題では「真空技術を利用した成膜法」について問われています。解答事例ではスパッタリングについて記載していますが、「真空技術を利用した成膜法」であれば何でも構いません。例えば蒸着やCVDについて記載しても可です。逆に「真空技術を利用した成膜法」でないもの、例えば湿式めっき等について解答してしまうと題意に沿っていないということでC判定となってしまいます。出題をよく見て、どの手法について記載すれば題意に沿った解答となるか適切に判断する必要があります。

②題意に沿った解答であること その2
この問題では「原理、技術的特徴、実用上の注意点」の3つを問われています。ですので、解答にはこの3つを漏れなく記載する必要があります。どれかひとつでも抜けがあればC判定となってしまうでしょう。さらに言えば「原理、技術的特徴、実用上の注意点」はそれぞれ同程度の分量、あるいは原理がやや多め程度の分量で記載することが望ましいです。例えば、原理と技術的特徴を24行書いておきながら実用上の注意点は1行だけちょろっと書くといった解答をしてしまうと、実用上の注意点に関する専門的学識が不十分であると判断されかねません。バランスよく解答する練習をしておくと良いでしょう。
なお、解答例では漏れがないように、かつ読みやすい解答となるように見出しをつけています。この見出しをつけるというテクニックは非常におすすめです。見出しを付けることで採点者に対して「原理はここに書いてますよ」「技術的特徴はここに書いてますよ」とアピール出来ますので、読みやすいという効果に加えて見落とされにくいという効果が期待できます。

③原理を記載するときは、モデル図を書くと良い
この問題では成膜法の原理を記載する必要があるのですが、わずかな文字数で専門技術の原理をわかりやすく適切に説明するのは正直無理があるというのが私の意見です。採点者も専門家ですから文章だけでも理解できることがほとんどでしょうし、実際文章のみでA判定をもらえるケースも多くあるようです。しかし、科学技術は非常に幅広い分野がありますので、やや専門外の方に採点されて採点が厳しくなる可能性も捨てきれません。
そこで役に立つのがモデル図です。文字だけでは分かりにくい原理も図を記載することで一気に分かりやすくなります。試験のルール上モデル図を記載することは認められている行為ですので、私はモデル図を解答に記載することを強くおすすめしています。

④技術的特徴は、その技術の長所を書くのをおすすめします
技術的特徴の項目は、その技術の長所を書いておくと良いかと思います。その際にはひとつの要素に関することばかり記載せずに、幅広い視点から長所を記載することが望ましいです。例えば解答例では、「膜の密着強度」「膜厚制御」「化合物膜形成の容易さ」「環境にやさしい」というように多様な視点から長所を記載しています。文章で記載しても良いのですが、幅広く長所を網羅するために箇条書きで記載することをおすすめしています。
なお、多様な視点でと記載しましたが、経済的な特徴は記載するべきか判断が分かれるところかと思います。例えば、処理が容易で工賃が安く済むといったことなどについては、個人的には(仕事上では)経済面も技術的特徴のひとつの要素であると考えています。しかし、技術士試験ではどのように捉えられているか分かりませんので、ここは文面を素直に受け取り経済的な特徴は避けておくのが無難かと考えます。

⑤実用上の注意点は、その技術の短所もしくは実用上の注意点をそのまま書く
技術的特徴で長所を記載したのと反対に、ここでは短所となることを記載しています。ここでも箇条書きを用いても問題はありませんが、あまり多用しすぎても助長な雰囲気が出てしまうかなと考え解答例では文章で記載しています。このあたりは読みやすさを考えて書き方を工夫してもらえれば良いかと思います。
なお、解答例では触れていませんが、「実用上の注意点」をそのまま記載しても良いかもしれません。スパッタリングを例にすると「ターゲット材料は成膜とともに徐々に消耗し、スパッタレート(成膜速度)が変化してしまう。そのため、定期的にターゲットを新品の物に交換するなど適切な維持管理が必要となる」といった内容です。解答例でもA判定はもらえていますが、こちらの方が題意には沿っているかもしれません。

なお、問題Ⅱ-1はいわゆるキーワード学習がそのまま活用できます。以下のページに様々な専門用語について問題Ⅱ-1を想定した解説を記載していますので、こちらも参考にしてください。
 技術的専門知識(キーワード学習)

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