おすすめの技術士二次試験講座はこちら!

鋼とステンレスの違いって?両者の特徴と使い分け方を解説!【技術士の簡単解説】

記事内に広告が含まれる場合があります

鋼とステンレスはどちらも一般的な金属素材ですが、その特徴や用途は異なります。
本記事では、鋼とステンレスの違いについて詳しく解説し、両者の特徴や使い分け方について紹介します。

「鋼」と「ステンレス」の違い

「鋼」とは鉄に炭素を混ぜたもの

まず、「鋼」とは主に鉄と炭素からなる合金です。

鉄そのままの状態(純鉄といいます)では強度が低く、耐腐食性も高くありません。
そこで、より使いやすくなるように鉄に炭素を混ぜ込んで「鋼」にするわけですね。

鋼には、炭素の割合によって低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼などがあり、炭素の含有量が多いほど硬度が高くなります。
また、鋼は強度が高く、比較的安価に製造できるため、一般的に建築や自動車、機械などの産業製品に広く使われています。

「ステンレス」とは鉄にクロムやニッケルなどを混ぜたもの

一方、「ステンレス」は鉄にクロムやニッケルなどの合金元素を加えて作られる合金です。

ステンレスは、鉄よりも耐食性が高く、錆びにくいという特徴があります。
そのため、食品加工や医療器具、建築やデザイン性が重視される家具など、さまざまな分野で使われています。

A太郎
A太郎

昔は日本語で「不銹鋼(ふしゅうこう)」とも呼ばれていました。

鋼とステンレスは特徴に違いがある

鋼とステンレスには特性や価格など様々な違いがあります。

では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

それぞれの特徴の違いを紹介します。

耐食性:鋼は錆びやすく、ステンレスは錆びにくい

鋼とステンレスの最も大きな違いは耐食性です。

鋼は耐食性が高いとは言えず、特に湿気の多い環境では錆びやすくなります。

一方、ステンレスは錆びにくく、耐食性が高いため、食品加工や海水に曝される環境においても使用することができます。

注意

本記事では一般的な観点から「ステンレスは海水にさらされる環境においても使用できる」と書きましたが、本当に使用できるかは要求仕様や周囲環境によって変わります。

まず、ステンレスは海水でも比較的錆びにくいというだけでまったく錆びないわけではありません。「それでも他の金属よりは錆びにくいし、定期的に交換すれば良いから海水が掛かる環境でもステンレスは使えるよ」という現場もありますし、「そんなに定期交換できる現場ではないので海水が掛かるならステンレスは使わないよ」という現場もあります。

また、ステンレスの加工状態や周囲環境によってはすぐ腐食してしまうこともあります。(孔食、応力腐食割れなど)

このように、本当に使用可能かどうかは運用によっても変わります。
「ステンレスは海水でも使える」という教科書的な情報だけでなく、要求仕様や実際の使用環境も含めて判断してください。

ステンレスの腐食についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

強度:鋼は硬くて高強度、ステンレスは柔軟性がある

鋼とステンレスの強度にも違いがあります。

鋼は、比較的硬い素材であり、強度が高いため、建築物や機械、自動車部品などに使用されます。一方、ステンレスは柔軟性があり、加工性が高いため、デザイン性が求められる家具やキッチン用品、医療器具などに使用されます。

外観:鋼よりもステンレスの方が見た目に優れる

鋼とステンレスの外観にも違いがあります。

一般的には、ステンレスは鋼よりも高級感があるとされ、デザイン性のあるものにも使われます。
実際、キッチン用品などのカタログを見ていると、「鋼は表面がざらざらしていて独特の質感がある」「ステンレスはツヤツヤとした光沢感がある」といったことが書かれています。

ただ、厳密に言うと外観の違いは仕上げ加工の違いによるもので、「鋼だから」とか「ステンレスだから」といったことに由来するものではありません。
とはいえ、ステンレスは加工性が良いので鏡面仕上げやサテン仕上げなど様々な仕上げ加工が可能です。また、耐食性もステンレスの方が高いので長期にわたって外観が良いです。

そういう意味で、結果的にステンレスの方が見た目に優れているというのは間違いありません。

A太郎
A太郎

一般的に鋼よりもステンレスの方が光沢感があるという書き方をされてしまいがちなのですが、金属の専門家としては気になる部分でしたので解説しました。

価格:鋼は比較的安い、ステンレスは比較的高い

鋼とステンレスの価格にも違いがあります。

鋼は比較的安価に入手できるため、大量生産に向いています。

一方、ステンレスは鉄に合金を混ぜることで作られるため、鋼に比べて原材料のコストが高くなります。そのため、価格が高めになっています。

鋼とステンレスの用途の違い

次に、鋼とステンレスの使い分け方について見ていきましょう。

建築分野では鋼がよく使われる

まず、建築分野では、鋼が主に使用されます。

鋼は強度が高いため、建築物の耐久性や安定性を確保することができます。

また、建築物は大きな構造物ですから材料が大量に必要になります。そのため、大量生産が可能かつ経済的な鋼がよく使われます。

家具やキッチン用品はステンレスがよく使われる

家具やキッチン用品など、デザイン性が求められる分野ではステンレスがよく使われます。

ステンレスは加工性が良く様々な表面仕上げが可能なため、美しい外観や柔軟性を活かした製品を作ることができます。

食品加工や医療器具はステンレスがよく使われる

食品加工や医療器具などの衛生面を気にする分野ではステンレスが使用されます。

ステンレスは耐食性が高く錆びにくいため、清潔な状態を保ちやすく衛生的に使用することができます。

食品や衣料など衛生面の配慮が必要な用途で使われる場合、「サニタリー用途」と呼ばれたりします。

 

まとめ

以上、鋼とステンレスの違いや特徴、使い分け方について紹介しました。

鋼とステンレスは、それぞれの特徴や用途に応じて使い分けることが大切です。そして、素材選びには耐久性やデザイン性だけでなく、環境負荷なども考慮して適切な選択を行うようにしましょう。

この記事を参考にして、鋼とステンレスを適切に使い分けましょう。

なお、鋼やステンレスの製品を購入する際には、素材や仕上げ、製造方法などを確認し、適切な使い方とメンテナンスを行うことが大切です。 また、正しい廃棄方法についても確認し、環境に配慮した使用を心がけましょう。

タイトルとURLをコピーしました