安全衛生法で規定された国家資格である「衛生管理者」。
この資格は「第一種衛生管理者」と「第二種衛生管理者」で分かれており、それぞれ選任することが可能な業種や試験難易度が異なります。
本記事では、「第一種衛生管理者」と「第二種衛生管理者」の違いについて解説します。
種類 | 選任できる業種 | 難易度 | 偏差値 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
第一種衛生管理者 | 全てOK | 簡単 | 49 | 43~47% |
第二種衛生管理者 | 有害な場所以外に限る | 簡単 | 45 | 50~55% |
衛生管理者とは
衛生管理者とは、企業や事業場において労働環境の衛生管理や健康管理を担当する専門職のこと、およびその国家資格のことを指します。
一定規模以上の事業場では規定の人数以上の衛生管理者を選任する義務があることが労働安全衛生法で規定されているため、企業からの需要が高い国家資格です。
事業場の労働者数 | 必要な衛生管理者の人数 |
---|---|
50人以上~200人以下 | 1人以上 |
200人超~500人以下 | 2人以上 |
500人超~1,000人以下 | 3人以上 |
1,000人超~2,000人以下 | 4人以上 |
2,000人超~3,000人以下 | 5人以上 |
3,000人超 | 6人以上 |
衛生管理者を取得するメリット
衛生管理者を取得しておくと、以下のような複数のメリットを受けることが出来ます。
メリットがある割にそこまで難しい資格ではないため、コスパ良くキャリアアップが出来るおすすめの国家資格です。
衛生管理者は第一種と第二種に分かれる
衛生管理者は「第一種衛生管理者」と「第二種衛生管理者」の2種類があります。
それぞれの違いは以下の通りです。
種類 | 選任できる業種 | 難易度 | 偏差値 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
第一種衛生管理者 | 全てOK | 簡単 | 49 | 43~47% |
第二種衛生管理者 | 有害な場所以外に限る | 簡単 | 45 | 50~55% |
詳しく解説していきます。
選任できる業種が違う
「第一種衛生管理者」と「第二種衛生管理者」とでは選任できる業種が異なります。
第一種衛生管理者は上位の資格で、全ての業種の事業場で衛生管理者として選任することが出来ます。
一方、第二種衛生管理者は下位の資格で、衛生管理者として選任できる業種が限定されています。
種類 | 選任できる業種 |
---|---|
第一種衛生管理者 | 農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・水道業、熱供給業、 運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業 上記を含む、すべての事業場 |
第二種衛生管理者 | 農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・水道業、熱供給業、 運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業 上記以外の事業場のみ |
ざっくり分類すると、第二種衛生管理者は「有害業務があり危険度の高い業種」では選任できないということですね。
試験科目が違う
「第一種衛生管理者」と「第二種衛生管理者」とでは試験科目が異なります。
第二種衛生管理者は専任可能な業種が限定されている分、試験科目も少ないです。具体的には、有害業務に係るものに関する労働衛生や関係法令が除外されています。
受験する衛生管理者の種類 | 試験科目 |
---|---|
第一種衛生管理者 | 労働衛生(有害業務に係るもの) 労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの) 労働生理 関係法令(有害業務に係るもの) 関係法令(有害業務に係るもの以外のもの) |
特例第一種衛生管理者 | 労働衛生(有害業務に係るものに限る。) 関係法令(有害業務に係るものに限る。) |
第二種衛生管理者 | 労働衛生(有害業務に係るものを除く。) 労働生理 関係法令(有害業務に係るものを除く。) |
特例第一種衛生管理者試験ってなに?
既に第二種衛生管理者に合格した人が、「第一種衛生管理者にも挑戦しよう」という時に受験する分類です。
既に有害業務に関する知識を持っていることは証明されているので、有害業務に係る試験科目以外の試験科目が免除されるわけです。
試験の難易度が違う
「第一種衛生管理者」と「第二種衛生管理者」とでは試験の難易度が異なります。
「第一種衛生管理者」の方が幅広い業種で専任可能なため、その分難易度も高くなっています。
難易度レベル | 偏差値 | 合格率 | |
---|---|---|---|
第一種衛生管理者 | 簡単 | 49 | 43~47% |
第二種衛生管理者 | 簡単 | 45 | 50~55% |
とはいえ、第一種も第二種もそこまで難しい資格というわけではありません。
さすがに勉強は必要ですが、しっかりと準備さえしておけば誰でも十分合格が可能です。
更なる上位資格「衛生工学衛生管理者」も存在する
衛生管理者の中には「第一種衛生管理者」と「第二種衛生管理者」以外に「衛生工学衛生管理者」という資格も存在します。
簡単に言うと「非常に危険な業務を行う事業場」で必要になる資格というイメージですね。
衛生工学衛生管理者を取得するためには2~5日に渡る講座を受講し、修了試験に合格する必要があります。
単純に受験して合格すれば良いという性質の資格ではないため注意が必要です。
第一種、第二種と比べて若干性質が異なるうえ、私自身が「衛生工学衛生管理者」の有資格者ではないため本サイトでは軽く触れる程度にとどめますが、興味がある方は公式サイトから調べてみてください。
第一種と第二種、どちらから受験するべき?
あなたが勤めている企業が「農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業」に該当するなら第一種、そうでないなら第二種と、勤めている環境によって必要な方を選びましょう。
…と、一般的には言うでしょうが、難易度もそこまで変わらないですし、キャリアアップを狙うなら「いきなり第一種衛生管理者を受験する」が圧倒的におすすめです。
第二種衛生管理者では専任可能な業種も結構制限されます。
それなら少し勉強時間を上乗せして、一気に第一種衛生管理者を受験してしまった方がコスパが良いという考えですね。
よくある質問
- Q衛生管理者にはどのような種類がありますか?
- A
「第一種衛生管理者」と「第二種衛生管理者」があり、更に上位に「衛生工学衛生管理者」があります。
上位:衛生工学衛生管理者>第一種衛生管理者>第二種衛生管理者:下位 という関係性があります。
- Q衛生管理者試験はどの種類から受験するのが良いですか?
- A
いきなり「第一種衛生管理者」を受験するのがおすすめです。
第一種衛生管理者ならすべての業種で衛生管理者として選任することができますし、そこまで難易度も高くありません。
まとめ
本記事では衛生管理者の種類について解説しました。
衛生管理者には「第一種衛生管理者」と「第二種衛生管理者」があり、それぞれ衛生管理者として選任可能な業種が異なります。
種類 | 選任できる業種 | 難易度 | 偏差値 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
第一種衛生管理者 | 全てOK | 簡単 | 49 | 43~47% |
第二種衛生管理者 | 有害な場所以外に限る | 簡単 | 45 | 50~55% |
キャリアアップを目的に受験するなら、圧倒的に「第一種衛生管理者」がおすすめです