技術士二次試験対策 筆記試験 問題Ⅱ-2(選択科目)

はじめに

問題Ⅱ-2について金属部門を中心に記載します。
この問題の出題内容や評価項目は日本技術士会ホームページの「技術士第二次試験受験申込案内」で公開されています。ただ、公開されている内容はなかなかにお堅い表現になっており、分かりにくいところがあるかと思います。
そこで、本ページでは出来るだけかみ砕いて分かりやすく表現するようにしています。一方で、見る人によっては「説明が足りないのでは?表現がおかしいのでは?」と思われる可能性もあると思います。また、あくまでも私の解釈であり、「試験管の真意は絶対こうだ、間違いない」というものではありません。
試験対策は人それぞれですので、参考にできるところは参考にするというスタンスでお読みください。

出題傾向と評価項目

選択科目についての応用能力を問われる問題です。
出題内容は「与えられた条件に合わせて、専門知識や実務経験に基づいて業務遂行手順が説明でき、業務上で留意すべき点や工夫を要する点等についての認識があるかどうかを問う。」という内容になっています。
「担当責任者として○○を開発することになった」「担当責任者として○○の維持管理のためのメンテナンス手順を構築することになった」といった具体的なテーマと立場が与えられ、この業務を進める手順と、業務を進める際のポイントを説明せよといった出題がされます。

この問題で評価される項目として、Ⅱ-1で評価される「専門的学識」「コミュニケーション」に加えて「マネジメント」「リーダーシップ」が挙げられています。
Ⅱ-1で評価される「専門的学識」と「コミュニケーション」に加えて、「要求される品質・コスト・納期などを達成するために、人・物・金・情報をバランスよく適切に配分できますか?(マネジメント)」「様々な関係者との調整が出来ますか?(リーダーシップ)」といったことが評価されます。

A評価解答事例

A評価の解答事例を例に挙げて解説します。

令和元年度二次試験 (金属部門表面技術) 問題Ⅱ-2-2
<問題文>

電子機器の小型化に伴い、モジュール基盤の配線微細化が求められている。この配線を形成する1つの技術として、新たに湿式めっきを開発することとなった。この業務の担当責任者として進めるに当たり、下記の内容について記述せよ。
(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順について、留意すべき点、工夫を要する点について述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
<解答(A判定)>

1.調査、検討すべき事項とその内容
(a)配線の材質:形成が必要な膜の材質調査は必須である。湿式めっきの場合、成膜が容易な材質や困難な材質が存在し、また、成膜可能だとしてもその成膜パラメータは膜の材質により変わるからである。
(b)配線の厚さ:配線形成に必要な膜の厚さにより、適用すべき湿式めっきの種類が変わる。例えば、ある程度以上の厚みが必要であれば電解めっきが適し、逆に膜厚は薄く高精度な膜厚制御が必要であれば無電解めっきが適する。
(c)基板のサイズ:湿式めっきの場合、基板を処理液に浸漬する必要がある。基板のサイズにより必要となる浴槽のサイズが異なるため、基板サイズの調査が必要である。
(d)モジュール基板の使用環境:実際の使用環境を調査し、その環境でも不良の発生しない膜とする必要がある。例えば、基板上に膜を形成するという性質上、温度変化のある環境では基板と膜の熱膨張率の違いから膜には熱応力が生じる。熱応力が生じても回路が断線などの不良が発生しない膜厚や材質の設計が必要である。

2.業務遂行手順(留意点、工夫点含む)
 業務の遂行手順を以下に記載する。
①調査を実施し、要求事項をまとめる。この時、現在の生産方法や特性等も併せて調査しておくと、開発完了時にレビューしやすい。
②得られた要求事項を基に、適用するめっきの方針を決定する。例えば、必要な膜厚や材質にで電解めっきか無電解めっきかを決める。
③決定した方針を基に、細かな生産におけるパラメータを調整しながら試作及び評価を行う。この時、1条件ずつ試作・評価を繰り返すのではなく、複数の条件でまとめて試作・評価を行うことで、生産パラメータと得られる特性のそう考えられやすくなり、効率的に開発が進められる。
④③の結果から最終的な生産条件を決定し、その結果生産された物が要求事項を満たしているか確認する。要求事項を満たしていれば、既存の物との比較等のレビューを行い、開発を完了する。

3.関係者との調整方策
・試作段階における方策:開発活動において、実験用の生産装置・ラインの有無に関わらず、実際の製品の生産装置・ラインを使用する必要がある時が必ずある。その際には製品の生産に大きな影響を与えないよう、実施時期や実施者等について生産担当者等の関係者と事前によく打ち合わせておく。
・開発完了後における方策:開発した生産技術をスムーズに現場に伝達できるよう、手順書等を十分に整備し、必要であれば時間を確保して教育の機会を設ける。

解説

Ⅱ-1同様、解答するにあたっていくつかポイントがありますので、それぞれ具体的に解説していきます。

①全体的なこと ~問題文に合わせて解答を構成する~
問題文は「(1)○○について述べよ。 (2)△△について述べよ。 (3)~~について述べよ。」というように3つの設問から構成されていますので、これに合わせて「(1)○○、 (2)△△、 (3)~~」という形で解答を構成します。ここでも見出しを活用することが有効です。
逆に言えば、勝手に問題文とは異なる番号や内容で見出しを付けて解答してしまうと採点者にとって読みにくい解答となり、「コミュニケーション」能力が不十分と判断されかねません。それでもA判定を得られている事例もあるようですが、ここでは素直に設問に合わせた番号と内容で見出しを付けて回答することをお勧めします。

②全体的なこと ~他者が見て理解・実行できるようなマニュアルをイメージ~
問題Ⅱ-2では業務手順についての説明が求められます。解答する際は、他の人が読んで理解・実行できるようなマニュアルを作成するイメージで解答するのが良いかと思います。
ポイントとしては、Ⅱ-2の解答全体で業務の一連の流れがイメージできるような解答を記載できることが望ましいです。設問が複数ありますのでそれぞれの設問を単独のものとして考えてしまうかもしれませんが、問題文の最初で設定された条件のもと一連の流れに沿って設問を追っていくようなイメージで解答できると良いでしょう。

③調査、検討すべき事項は複数記載する
ここでは幅広い専門的学識をアピールするために、複数の事項について箇条書き等で記載することをお勧めします。3つから4つ程度の数を記載すると良いでしょう。
なお、この解答では「調査・検討すべき事項とその内容」のうち『内容』の部分には「なぜ調査・検討すべきか、(2)業務遂行手順の解答への繋がりを意識しながら」記載しています。『内容』にどのようなことを記載するべきかは設問にもよりますが、②でも記載しているように全体の繋がりを意識しながら記載することでより分かりやすい解答になります。

④業務手順は実現可能で現実的な(無難な)ことを書く
ここでは業務手順を記載しています。解答事例を見て「当たり前のことしか書いてないじゃん」と思われると思いますが、私はこれで良いと考えます。この問題で評価される項目の「リーダーシップ」では「明確なデザイン感覚と現場感覚をもち~」ということが記載されていますが、これは「目的を達成する道筋を明確にすることができる(明確なデザイン感覚)、作業者などの関係者も納得させられる(現場感覚)」ということと考えられます。このことから、いくら内容が高度でも内容が複雑で関係者から反発されてしまいかねないことを手順として記載するよりも、万人に「そうだよね」と思われる手順を解答として記載するべきと考えます。
なお、このことは業務手順の解答だけでなく、他の解答でも当てはまります。

⑤関係者との調整方策は「リーダーシップ」を直接的にアピールできる
この設問は特に顕著ですが、ここでは関係者の調整ができるかという「リーダーシップ」を問われます。「専門的学識」だけでは分からないような、実務経験者ならではの視点で解答して現場感覚をアピールしてください。自身の過去の経験から、関係者との調整で普段から意識していることを記載すれば特に問題はないと思われます。

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